KSAL
佐々木健二建築研究所

Project

APARTMENT IN UMEDA, ADACHI

Umeda, Adachi-ku, Tokyo / Collective Housing
西暦:2021
用途:共同住宅
構造:S造
規模:329.16m²(仮)
APARTMENT IN UMEDA, ADACHI 外観・ファサード
APARTMENT IN UMEDA, ADACHI 共用部・アプローチ
APARTMENT IN UMEDA, ADACHI 住戸内観
APARTMENT IN UMEDA, ADACHI 立体的な開口計画

Concept

足立区梅田の住宅と小規模な商業が混在するエリアに計画された、 ワンルーム主体の小さな共同住宅です。駅からの動線と生活道路が交差する角地に、 「通りの延長としての共用空間」を持つ住まいを挿入することをテーマとしました。

建物は、単なる効率的な賃貸ボリュームではなく、 住戸どうしの関係性や、街との緩やかな連続性を調整する「フレーム」として構成されています。 住戸内の最小限のスケールと、共用部に確保した「余白」とのコントラストが、 日々の生活にわずかな揺らぎと選択肢を生み出すことを意図しています。

Architectural Approach

1. 路地の延長としての共用動線

エントランスから階段・共用廊下に至る動線は、外部の路地の延長として位置づけています。 完全に閉じきらない壁面構成や手すりの透け感により、街の気配がかすかに立ち上がるような 半外部的な共用空間を目指しました。

2. 立体的な抜けと採光計画

周辺の中層建物に囲まれながらも、上空への抜けと斜め方向の視線を確保するため、 バルコニーや開口の位置をずらしながら立体的に配置しています。 直接光だけに頼らず、反射光や隣地越しの明るさを取り込むことで、 小さな住戸に奥行きのある光環境をつくり出しています。

3. ミニマルな住戸と厚みのある壁

住戸内部は家具レイアウトの自由度を優先し、 シンプルで癖のない平面としました。その一方で、 住戸間の壁や外壁まわりに物入れ・ニッチ・設備スペースを集約し、 「厚みのある壁」として生活の機能を埋め込んでいます。 これにより、限られた面積の中で視覚的なノイズを抑え、 余白のあるワンルーム空間を実現しています。

4. 素材と色彩の静かなトーン

外装・共用部・住戸内の仕上げは、ホワイト〜グレイを基調とした静かなトーンで統一しつつ、 手すり・床材・建具にわずかな質感差を与えています。 コントラストを強調しすぎず、光の角度や時間帯によって表情が変化していく、 「低解像度だが濃度のある」素材感を目指しました。

Context – Adachi

足立区梅田は、古くからの低層住宅と新しい中層集合住宅が重ねられた、 東京の周縁的な風景を色濃く残すエリアです。 大きな再開発とは距離を取りながらも、生活の密度や人の気配が途切れない、 独特の時間感覚を持った街だと言えます。

本計画では、この「ゆるやかな密度」を壊さずに更新していくことを重視しました。 建物のボリュームは周辺スケールに呼応させつつ、共用部の開き方や足元の処理を通じて、 街路の延長としての余白をにじませています。 住戸は街から少し距離を取りながらも、その気配を背後に感じ取れるようなポジションにあり、 個と集合、内と外のあいだを行き来する日常を受け止める器となることを意図しています。